免疫を強化し、掻き傷の治りを助け皮膚を強くするアトピーと若返りに必要なビタミン・ミネラルの組み合わせです。
ミネラルなしではビタミンが正しく働けないことをご存知ですか?
ビタミンをより効率的に働かせるミネラルとは…ビタミンはミネラルの助けなしには、吸収されることも、その機能を果たすこともできません。
アトピーの方に必要なビタミン・ミネラルの有効な組み合わせについて狭い紙面では、語りきれないのですがかいつまんでお話いたします。
鉄+ビタミンC
鉄は、免疫機能を維持する役目があり、欠乏すると体内に侵入した細菌などを食べてしまう白血球のひとつである好中球の殺菌能力が低下することがわかっています。食べ物から摂取した鉄には、二価鉄(Fe2+)と三価鉄(Fe3+)があります。
二価鉄は、酸化数が+2の鉄イオンの ことです。鉄は十二指腸と小腸で吸収されます。二価鉄のほうが三価鉄よりも吸収されやすいのですが、ビタミンC(アスコルビン酸)は三価鉄を還元して二価 鉄にする作用があるので、より鉄を吸収しやすくなります。掻き傷が膿んだりトビヒになりやすい方は、鉄+ビタミンCを心がけて下さい。
ビタミンCは、コラーゲンの形成に主要な役割を果たします。コラーゲンは、身体の組織細胞・歯肉・血管・骨・歯の成長と修復に必要な膠原質です。ビタミンCはコラーゲンの膠原質を強くします。
コラーゲンは、マンションで例えると軸となる鉄筋にあたります。当然、太く頑丈な方が耐久性もいいわけで、ヒトの身体も同じことがいえるのです。
〈鉄のはたらき〉
- 酸素を全身に運ぶ
- 成長を助ける
- 抵抗力を増進させる
- 疲労を防ぐ
- 貧血の予防、治療
- 皮膚を強くするビタミンB類の代謝に必要
〈鉄を多く含む食品〉
レバー、赤身肉、卵黄、鮎内臓、あさり、あおのり、ひじき
〈ビタミンCのはたらき〉
- 鉄の吸収を助ける
- 傷の出血を治す
- 静脈中に血栓ができるのを防ぐ
- 血中コレステロール値をさげる
- ニトロソアミン(発ガン物質)の形成を妨げる
- シミ、色素沈着をうすくする。(メラニンの排泄)
〈ビタミンCを多く含む食品〉
柑橘類、ベリー類、緑黄色野菜、トマト、カリフラワー、ピーマン
〈鉄とビタミンを一緒に摂ると吸収力が増す食品〉
肉類などのタンパク質、ビタミンC(アスコルビン酸)
〈鉄とビタミンCを一緒に摂ると吸収を阻害する食品〉
フィチン酸(玄米、米ぬか、種子類)、リン酸(加工食品)、タンニン(緑茶、赤ワイン)
亜鉛+ビタミンA
人体に対する亜鉛の重要性が明らかになってきたのは、1960年代です。亜鉛は200種類以上の酵素の構成成分であり、体内で酵素反応の代謝がスムーズに行われるよう交通巡査のように指揮しています。
免疫機能を維持するとともに、細胞分裂を促進するきのうがあるので、アトピーの痒みでできた掻き傷や痛められた組織を修復する働きもしています。また、更年期に現れる味覚障害や男性の前立腺の不調、若い女性の月経異常や不妊症も亜鉛不足が指摘されています。
ビタミンAは脂溶性ビタミンで、消化管から吸収されるにはミネラルと油(脂肪)が必要です。ビタミンAには、二つの種類があり、すでにビタミンAの形になっているもの(動物性の食品だけに含まれる)と体内で必要に応じてビタミンAに変わるβ(ベータ)カロテンと呼ばれるプロビタミンA(動物性、植物性両方に含まれる)です。
βカロテンの効能としては、強い抗酸 化作用を持っているので身体全般の老化防止や、肌・髪・爪を健康に保つといった効果があります。基本的にβカロテンは体内に摂取されると、ビタミンAが不 足した場合に必要な量だけビタミンAに変換され、ビタミンAとしての効能が発揮されます。βカロテンの吸収を良くするには、熱と油が必要です。
緑黄色野菜を調理する時は油で炒めるとか。茹でた野菜にオリーブオイルやゴマ油をかけるなどして下さい。βカロテンには、日焼けしにくい肌を作り、小じわ、シミの改善、さらに、心臓病のリスクを下げ、悪玉コレステロールを減らし、ガンを予防するといった若返りにとても重要な因子です。亜鉛と共に摂ることで、強い抗酸化作用で免疫機能を強化する働きがあります。
〈亜鉛のはたらき〉
- タンパク質の合成
- 免疫機能の維持
- 血糖値の調整
- 不妊の治療を助ける
- 性機能の維持
- 味覚の維持
- 精神治療の治療を助ける
〈亜鉛を多く含む食品〉
牡蠣、あわび、煮干し、牛(赤身)、レバー、卵黄、ココア
〈ビタミンAを多く含む食品〉
魚の肝油、レバー、卵黄、緑黄色野菜、乳製品、黄色の果物(柿、びわ、マンゴーなど)
〈亜鉛とビタミンAを一緒に摂ると吸収を阻害する食品〉
亜鉛も鉄分と同じように食物繊維や豆類、種子類などに含まれているフィチン酸 や食品添加物により、吸収を阻害されます。ベジタリアン(菜食主義)の方の亜鉛不足は、フィチン酸を多く含む食事を摂取していた事が原因ということがあり ました。亜鉛は、タンパク質といっしょに摂取すると吸収率がよいことがわかっているので、肉類は、亜鉛摂取に優れた食品です。亜鉛は、ビタミンAと一緒の ときに最も良い働きをします。
セレン+ビタミンE
セレンは、ビタミンEと同じような働きをしてくれますが、特に抗酸化力にすぐれ、ビタミンEの100 倍の抗酸化作用があると言われています。セレンは当初、毒物と見なされていましたが、セレンが欠乏したラットの肝臓が壊死することから、動物にとって必要 なミネラルであることがわかりました。その後、人体においても重要な働きをしていることがわかりましたが、必要量と中毒量が非常に近いため、サプリメント による摂取は過剰になることがあり注意が必要です。
毎日の食事をきちんとしていれば、セレンは充分にとれますが、フケが多いなど気になることがあれば、セレンを多く含む食品をたくさん食べて下さい。食品によるセレン中毒はありません。
セレンの優れた抗酸化力で痒みの減少、色素沈着を防ぎます。セレンはもともと 土壌中に含まれたミネラルですが、日本は火山国なので、セレンは土壌にはあまり含まれていません。化学肥料や殺虫剤、除草剤、殺菌剤などで土壌中のセレン は効果を失い、作物には吸収されずいくら食べてもセレンを摂った事にはなりません。無農薬野菜が大切な理由です。
ビタミンEは、脂溶性ビタミンで主に肝臓や脂肪組織に蓄えられます。トコフェロールと呼ばれ、強力な抗酸化力を持ち脂肪を含んだ化合物の酸化を防ぎます。
セレン、ビタミンA,ビタミンC,アミノ酸(シスチン、メチオニン)などビタミンEは摂取量の60~70%は便で排せつされ、他の脂溶性ビタミンと異なりビタミンB,Cと似て、ビタミンEは体内に短時間しか蓄えられません。
ビタミンEは燃えるビタミンともいわれ、血行が良くなるので、掻き傷などの治りを早めます。またセレンと共働するので、それぞれ単独で摂った時よりも、一緒に摂った方が1+1が2ではなく3にも4にもなります。
ビタミンEは不足すると、シミができたり、血行が悪くなり、冷え症、肩こり、頭痛、しもやけなどの症状が出てきます。女性は特に毎日の食事で補いたいですね。
〈セレンのはたらき〉
- 抗酸化作用
- ガンの抑制効果
- 免疫力の維持
- 老化防止
- 重金属の毒性を軽減
◎セレンは重金属の毒性を軽減する
セレンは体内に入った水銀やカドミウムなどの毒性を軽減する作用があります。魚などによる食物連鎖での水銀中毒は生物濃縮の顕著な例ですが、マグロなどの大型魚は重金属が多いので、食べるのが不安という方もセレンを十分に摂ればOKということです。
〈セレンを多く含む食品〉
鰹や鯵などの青魚、牡蠣、卵黄、たらこ、レバー、するめ、あさり、藻類
◎抗酸化力にすぐれ、体内の活性酸素や過酸化脂質を分解する役目をしています。そのため、ガンの抑制や老化防止になると注目されています。
〈ビタミンEを多く含む食品〉
卵黄、いくら、たらこ、小麦全粒粉、精製していない穀類、植物油類、ナッツ類