赤ちゃん

母乳とミルクどちらがいいの?


先日のカウンセリングで、「赤ちゃんのアトピーが酷いので、母乳をやめて人工乳(ミルク)にして下さいと病院でいわれました」と今にも泣き出しそうな声で相談がありました。「母乳をあげてはいけない…と思いつつも、赤ちゃんが一生懸命吸ってくる姿を見ると、可哀そうで、つらくて…ミルクをあげても舌で乳首を押し出して全く飲まないし…おっぱいは乳腺炎をおこしそうなくらい張ってるのに…まわりの人は母乳が悪いからやめた方がいいとすすめる」という内容です。

お母さんの血液は瞬時に母乳にかわります。


私は、生後3カ月でアトピーと診断し、人工乳(ミルク)に替えるように指導した医者に疑問をいだきました。生後3カ月の状態では、アトピー性皮膚炎という病気ではなく、乳児湿疹という赤ちゃんにできる湿疹の状態でしょう。血液検査ができる月齢ではないのに…お母さんの母乳でアレルギー反応をおこしているなんて乱暴すぎますね。

どんなに高価な粉ミルクも母乳のような免疫力はないのです。母乳は、お母さんの食べたもので出来ていますから、食事指導をすればよいのです。お母さんの血液は瞬時に母乳に変わるので、お母さんは、体調を整えストレスをなくしてサラサラのキレイな血液でなくてはいけません。よい母乳を作るためには便秘をしないこと、昨夜の食事が朝のウンチで出るくらい快便であってほしいのです。

毎日ウンチが出ていてもおとといのウンチが出るのはダメです。ウンチが腸内に停留すると、腸内の異常発酵によりウエルシュ菌などの悪玉菌が増殖します。インドール、スカトールなどのガスも発生して腸内で再吸収し血液を汚します。

お母さんが食べてはいけないもの、例えば、コーラや濃縮還元果汁などの甘い飲み物、ドーナッツ、ハンバーガー、スパゲティ、ラーメン、フライドチキン、ハム、ソーセージ、ポテトチップスなどのスナック類…一言でいえば、腸内環境を悪くするものはすべてダメです。

腸内環境をよくする植物性乳酸菌


まだまだありますが、カタカナの食材、メニューをやめて、ひらがなの食材に替えること、腸内環境を良くする植物性の乳酸菌をこころがけて摂るようにすること、乳酸菌というと、ヨーグルトやチーズなどを思いうかべる方が多いと思いますが、ヨーグルトやチーズに含まれている乳酸菌は、牛乳の発酵食品に生息している菌ですから「動物性乳酸菌」。

漬物や味噌、醤油、納豆などの発酵食品に生息している菌は「植物性乳酸菌」といいます。どちらも乳酸をつくることは同じですが、「動物性乳酸菌」は、乳糖だけを分解し、「植物性乳酸菌」は、ブドウ糖や麦芽糖、果糖などいろいろな糖類を分解して乳酸をつくります。「動物性乳酸菌」は、体内での生息環境が制限されていますが、「植物性乳酸菌」は、他の微生物との共存ができるので、生命力が強く生きて腸まで届くと言われています。

ぬか床には1gに10億個の乳酸菌


手っ取り早く「植物性乳酸菌」をとるには、日頃から漬物を常食することです。糠漬け、奈良漬け、千枚漬け、しば漬け、白菜漬け、たくわん・・日本にはいろいろな漬物がありますね。

韓国のキムチ、中国のザーサイ、ヨーロッパのザワークラウトなど世界中で漬物は食べられていますが、日本ほど漬物の種類が豊富な国はありません。特に、糠漬けの「ぬか床」には、1gあたり10億個の乳酸菌が含まれていると言います。きゅうりや人参、ナス、キャベツ、など、なんでも糠漬けにしてサラダのように食べて下さい。

ぬか床には、ビタミンB類が豊富に含まれていますので、美肌効果、粘膜強化に優れています。漬物をたくさん食べると乳酸菌、ビタミン、酵素、食物繊維がたっぷりとれていいことずくめです。但し、くれぐれも減塩で漬けて下さい。

動物性乳酸菌は、24時間程の寿命ですが、ラブレ菌などの植物性乳酸菌は、腸にとどまる寿命が長く、なかには1週間といわれる有胞子性乳酸菌もあります。有胞子性乳酸菌は胞子性の乳酸菌の総称です。胞子性というのは胞子を種と考えれば、熱や酸、乾燥に強く、腸まで届いて発芽するというイメージです。

有胞子性乳酸菌の健康に対する効果は、一般の乳酸菌と特に大きな違いはありませんが乳酸菌効果を効率よく利用できる点は注目に値するでしょう。漬け物の事ばかり書いてきましたので、動物性乳酸菌は×、植物性乳酸菌は◎のように見えますが、優劣はつけがたいところです。実際は、それぞれ持ち味があり、良く知られている動物性乳酸菌は、ヨーグルトに含まれるビフィズス菌があります。抵抗力がつき、カルシウムの代謝が良く栄養価が高いので、成長期には向いていると思います。

初乳が一番大切!免疫は腸内環境がカギ


ちなみに赤ちゃんは、生まれたばかりの時は乳酸菌がありません。ところが母親から初乳を与えられると、数日で腸内の菌がほとんど乳酸菌100%に跳ね上がるといわれています。

この初乳には免疫グロブリンAやラクトフェリンなどの成分が多く含まれ新生児の消化器官に殺菌力や免疫力を与えます。その後の母乳も善玉菌のエサとなって善玉菌をどんどん増殖させますが悪玉菌のエサにはなりません。赤ちゃんには、母乳があれば、他に乳酸菌を摂取する必要はないのです。

一方、人工乳で育っている赤ちゃんは母乳で育っている赤ちゃんより10倍も悪玉菌が多いことがわかっています。これが、母乳に近い成分と宣伝する粉ミルクと母乳の大きな違いです。

やはり赤ちゃんには母乳が一番ということです。どんなに高価な粉ミルクよりも和食中心で植物性乳酸菌たっぷりの食事を心がけた母乳に勝るものはありません。この状態で、抵抗力が極限に達し、生後3ヶ月程度で驚異的な生命力とともに成長していきます。

この時期以降は腸内環境は加齢とともに大人のように衰えて行くと考えられています。子どもも大人も乳酸菌を随時補給してできるだけ腸内環境の劣化を防ぐ必要があります。