3大アレルゲンとは
牛乳も卵も食べていないのに痒くなるのはなぜですか?という質問を受けました。
幼いころからアトピーで、さんざん食事制限をしてきたそうで、大人になった今も怖くて口にできないそうです。
たしかに、三大アレルゲンといわれる牛乳・卵・小麦は3才頃までは、とても重要で気にする必要があります。
それは、消化器官が未熟でカゼインというタンパク質を消化分解できないから、身体がびっくりして、この食べ物は注意して下さいという信号を出し、痒みや皮疹となって現れることがあるからです。
食物アレルギーは消化能力の他にも、消化器粘膜の透過性、ロイコトリエンやインターロイキン、ヒスタミンなどの<ケミカルメディエーター>と呼ばれるアレルギーに関与する物質など、複雑な要素がいくつも絡み合って症状は出てくるのです。
安全な離乳食の大事さ
深刻なアレルギーもありますが大半は、離乳食の開始が早すぎておこるように感じます。
育児雑誌や離乳食メーカーなどは、離乳食を早くすすめたがりますが、まだ未熟な消化器には負担がかかります。
子供の食欲がない、食べてくれないという悩みも同じです、食べてみたいという食欲が湧いてくるのを待たずに、スプーンを運んでもひとくちふたくちでイヤイヤと首をふってしまうのです。
大人の都合で、赤ちゃんに先に食事をさせていませんか?食欲を湧かせるためには、まず、お父さんお母さんが、美味しそうに食事をすることからはじめます。
お料理のいい匂いがして、美味しく食べる姿を見せるのです。幼児は物まねでいろいろなことを学びます。親が美味しそうに食べれば、食べてみたいと思うのです。口をモグモグし、よだれがでてきたら、脳も消化器も準備は万端です。
基本的に離乳食は、特別に作るのではなく、親が食べているものを柔らかく、味を薄くして食べさせます。市販のものをお湯で溶いたりチンしたりではカロリーは摂れても、心にも身体にも栄養にはなりません。
卵の上手な食べ方
3才を過ぎるとだんだん消化器も成熟してきて、少しずつ牛乳も卵も食べられるようになります。
牛乳は加熱して、卵黄は血液検査で高い数値が出ていても痒みや皮疹の原因とはなりません。ゆで卵にして卵黄だけをほぐし、フライパンで煎ってふりかけのようにパラパラにしてご飯にかけます。
卵がアレルギーの筆頭のように、目のカタキにされますが、悪いのは卵白のタンパク質( カゼイン)で、卵黄はレシチンとコレステロールからできています。
レシチンは脳のシナプスを作るアセチルコリンという原料になり、コレステロールは成長ホルモンになりますから、子供には是非食べさせたいもののひとつです。
卵も牛乳も克服しても痒いのはなぜでしょう?
それは、先ほど出てきた<ケミカルメディエーター>が悪さをするのです。
その中のひとつに<ヒスタミン>というものがあります。
ヒスタミンという言葉を聞いたことがありますか?
ヒスタミンとは、ヒトや動物の組織内に広く存在する物質で、アレルギー反応を起こした時にマスト細胞から放出されます。
普段は悪さをすることはないのですが、ケガや薬などにより活性化し発赤や痒み、痛みの原因となります。
食物アレルギーの代表格である卵・牛乳・小麦・米・大豆の5大アレルゲン以外に、アレルギーにそっくりの蕁麻疹のような症状が出る場合があり、仮性アレルゲンと呼ばれています。
よく、サバを食べて当たったとか、トマトをかぶりついた子どものくちのまわりが赤くなったとか、マグロで蕁麻疹が出たとかよく耳にしますね。
仮性アレルゲンでの症状は、食物アレルギーの症状と似ているのですが、アトピーのように、IgE抗体が関与するものと違い、IgE抗体が関与しない反応です から、アレルギーに縁がないと思っている人でも、ヒスタミンを含む食品の摂取で蕁麻疹を引き起こすことが考えられるのです。
アトピーの子はもちろん1の痒みが10になります。
食物自体に、このヒスタミンを多量に含んでいるものがあります。
山芋や里芋は手に付いただけでも痒いですよね、それがヒスタミンなのです。
五大アレルギーは、未熟な消化器が成熟し、消化能力が高まれば自然に反応しなくなり、そのうちなんでも食べられるようになるのですが、ヒスタミンを含むものは、食物アレルギーのないアトピーの人も注意が必要です。
特に、家族の中にアレルギーがある赤ちゃんの離乳食では、ホウレン草・じゃがいも・トマトなど充分な注意が必要です。