皮脂欠乏性湿疹

 皮脂欠乏性湿疹とは、皮膚のバリア機能が損なわれ角質がはがれている状態です。

皮脂欠乏性湿疹は、アトピー性皮膚炎の方や老人性乾皮症の方は、冬場に憎悪する事が多く、また、魚鱗癬・肝臓、腎臓の病気、糖尿病によっておこる皮脂欠乏性湿疹は、季節に関係なく生じます。

特別に皮脂が欠乏する原因がなくても、空気が乾燥する冬場は毎年、カサカサ・ムズムズを繰り返しているというヒトは年齢が上がるにつれ多くなります。

皮脂欠乏性湿疹の症状は、皮膚表面がガサガサ、白い粉をふいたようになり、乾燥して角質がはがれてパラパラと落屑します。更に症状がすすむと、ひび割れや痒みだけでなく痛みが発生していることもあります。

皮膚は、4つの層からできていますが、一番上の層の表皮は水分を多く含み、皮脂が被覆して乾燥を防ぐ構造になっています。この皮脂が第一のバリアゾーンです。老化による皮脂の欠乏やアトピー性皮膚炎などは、このバリアが失われていますから、ちょっとしたホコリや暖房による乾燥などでも痒くなります。普段は角質から奥へは浸透しない物質が角質を通り抜けてしまうのです。そのため、シャンプーや化粧品の成分にかぶれて赤くなったり刺激に敏感になります。このような状態の皮膚には、水分を補った後、皮脂の代わりとなる油分を与えて疑似バリアを作ってやることが大切です。

痒みにはマグネシウム

 皮膚の表面に、マグネシウムが不足すると痒みが増します。マグネシウムを多く含む食品を摂ることが大切です。しかし、食事に気をつけていてもアトピーや高齢者はマグネシウムの代謝が悪いので、食事で摂ったマグネシウムが栄養となり、皮脂というかたちで皮膚表面に届くまでに時間がかかります。手っ取り早くマグネシウムを補給するには、マグネシウムが主成分の「にがり温泉」が有効です。にがり温泉に含まれるマグネシウムは入浴することで、皮膚表面に残留し、入浴後すぐに善玉菌のエサになりますから、善玉菌が増えてブドウ球菌などの雑菌から皮膚を守ります。にがり温泉でしっとり水分補給をしたあと、失われたバリアをつくります。ヒトによっては、ベタベタした感じが安心感があるといわれることもありますし、さっぱりサラサラでないとイヤというヒトもいます。

ポイント①

入浴後に痒くなるのは洗いすぎ。ナイロンタオルは× 石鹸、ボディソープはつかわない。

「にがり温泉」に入りお湯の中で、皮膚を軽くなでるだけ。

ポイント②

体躯、特に下肢に乾燥・掻痒・皮膚の落屑がみられる老人性乾皮症は、入浴後スキンケアとともにマッサージをして血行を良くする。

ポイント③

体内からの乾燥を防ぐには、水分の摂取を心がける。冷え症の改善。食品添加物の少ない食品を摂る。