胎毒ってなに?

若い新米ママの相談です。
「私の赤ちゃんは、生まれたときからアトピーなんです。半年たっても良くならないし、小児科や皮膚科でお薬もらっても良くなったり、また悪くなったりの繰り返しで・・・この前は、近所のおばあちゃんから、この子タイドクやな・・っていわれて・・タイドクってなんですか?」


このお母さんは、半泣きで本当に困った様子でした。
まず、胎毒(タイドク)という意味ですが、赤ちゃんが母体内で受けた毒が原因といわれています。具体的には今、問題になっているPM2.5やタバコなどの環境汚染・ストレス・毎日の食事などです。お母さんが受けたさまざまな毒素が、お母さんの胎内にいる赤ちゃんの体に蓄積したということなのです。


赤ちゃんは、おなかにいる間、おしっこはしてもウンチはしません。
胎毒は、ウンチとなって排泄されなかった毒素だとイメージしてください。
たしかに、胎毒だけなら、ひと月もすれば、排泄されるでしょう。しかし、この赤ちゃんは、半年たっても頭皮には、ベッタリとカサブタが張り付き、ほっぺは真っ赤。おまけにリンパ液も滲んでジュクジュク、乳児湿疹の状態がずっと続いているのです。

食べ物で治る?アトピーと母乳の関係

このお母さんの毎日の食事内容を聞くと、「フツーの食事をしてます。」という答えでした。朝は、トーストか昨夜の残り、お昼はひとりなので、カップ麺の時もあればコンビニで何か買ってくることもある。夜は、ご主人が肉好きなので、フライドチキン、トンカツなどをスーパーで買ったり、ソーセージを炒めたり、冷凍のハンバーグやシュウマイをチンしたり、サラダは作るけど煮物や魚は、ご主人が嫌いだし面倒なので全く作らない。授乳中ですぐおなかがすくので袋入りの菓子は切らした事がなく常につまんでいる。助産師さんから甘いものを控えるようにいわれたので、ケーキもチョコレートも我慢してます。とのこと。食事の間違いを指摘すると、びっくりしていました。甘いものを除去しているのは良いのですが、食事やおやつの油の質を考えなければいけません。このお母さんには、カレーやシチューなどカタカナ料理と揚げ物。スナック菓子をすべてやめて、ひらがなや漢字で書く料理を指導し、あまり料理が得意ではないというので、以下のことを約束して貰いました。

1・・必ず毎日みそ汁を作り、具を<キノコ類・わかめ・かぼちゃ・人参・キャベツ>を使いたっぷり山盛りで食べる

2・・ご飯は、24時間浸水の発芽玄米1:白米1のご飯(白米+押麦◎)

3・・焼のり(味付のり×)と納豆は毎日。

4・・鮮度の良い天然魚を食べる。養殖の魚は、抗生物質の残留があるので×。

5・・肉は、授乳中なので鉄分の補給を考えると、牛の赤身のしゃぶしゃぶ◎

豚や牛の脂、鶏の脂× 輸入物の鶏肉は、皮に抗生物質が多く残っているので除去。

6・・野菜の鉄分は吸収が悪いので血の色の、赤身肉やレバー、鰹や鮪などの身が赤い魚の血合い◎ 卵黄◎

7・・鉄分の吸収を阻害するものを避ける.

フィチン酸(発芽させていない玄米・種子類)、リン酸(加工食品)、タンニン(緑茶・赤ワイン)

8・・お菓子の代わりに果物をたべる。アレルギーがなければ、ビタミンAを多く含む、柿・びわ・みかん・マンゴー・などの黄色の果物が◎

9・・マーガリンをやめる。マーガリンに含まれるトランス脂肪酸×、バター◎

インスタントだしを使わない。かつお節、いりこ(頭と腹を取る)、昆布をミキサーにかけ天然粉末だしをつくる。

10・・白砂糖をやめ、甜菜糖・黒糖・はちみつ・などの精製していない糖に代える。

ひと月過ぎたころ「美味しそうにおっぱいを飲むこの子を見て、食事の大切さを知りました。」とのコメントと赤ちゃんの写真が送られてきました。母子ともに見違えるような笑顔で、炎症はすっかりおさまっていました。

規則正しい食生活で質の良い母乳を作りましょう

この例に限らず現代人は、一般に言うサラダ油、牛肉、豚肉、などリノール酸(ω-6系)を摂りすぎていると言われます。食の欧米化が進み、魚を食べず肉中心の食生活になったためです。このため現代人は花粉症・喘息や湿疹・感染症になりやすく、免疫反応がいつも過敏になりやすいのです。

おっぱいはお母さんの血液から出来ていますので、お母さんの食事の内容に影響を受けます。血液の質を良くすることがまず基本です。ドロドロ血液は、自覚症状がないため気づきにくいのですが、高脂血症という状態にもなりかねません。症状が進んでから気づいても手遅れなのです。

お母さんが脂質の多い食事をしていると搾乳した母乳に黄色い油が浮くこともあります。ドロドロのおっぱいは、赤ちゃんにとっては不味く乳腺炎の原因にもなります。ちなみに美味しいおっぱいとは、乳汁のにごりのない薄い青みがかった乳白色といわれています。

ビタミンやミネラルのバランスはもちろんですが、乳腺炎の予防のためにも、脂質の少ないさっぱりした和食中心でバランスの取れた食事を心がけましょう。サラサラの血液は毎日の食事で可能なのです。