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有機溶剤とは

 有機溶剤とは塗料や接着剤、石油化学製品などの原料や脱脂剤、強力な汚れ落とし等として、他の物質を溶かす有機化合物の液体全般を指します。火を付けると燃え、特有の臭いがあります。

有機溶剤を取り扱う人には、健康診断が義務づけられています。有機溶剤のうち54種類のものについては、人体に有害なことが明らかになっています。


これらを含むものを5%以上使ったり作っている場合は、その溶剤別に出やすい害に合わせた検査項目の特殊健診を、半年に一度実施することが法律(有機溶剤中毒予防規則) で義務付けられています。

有機溶剤の人に対する影響

 54種類の殆どで共通して出やすい症状としては、皮膚や目・鼻などの粘膜への刺激・かゆみ・かぶれが挙げられます。のどの奥の粘膜まで届いて、痛みやせきやたんが出ることもあります。

また、ツーンとした臭いから想像されるような、頭痛やめまい、吐き気も54 種の殆どで 出やすい症状です。有機溶剤が脳や全身の神経を攻撃するためです。有機溶剤に強くさらされた方や、長く続けている方では、手足にしびれが出たり、筋力が落ちたり筋肉痛が出たりすることもあります。また何となく落ち着かなくなったりいらいらしたり、無気力になったり、寝つきが悪くなることもあります。


アルコールで肝臓を悪くしやすいのと同様に、殆どの溶剤で肝機能が悪くなる可能性がありますので、肝臓が悪いときのような症状がないかどうかも調べます。


2010年には、有機溶剤を扱う業種で勤務し、化学物質過敏症による眼球運動障害を患った男性が、労災と認定されています