毎日お米を食べましょう。パンで痒くなる？大人にも増えているグルテン過敏症のお話です。

 小麦に含まれているタンパク質「グルテン」。グルテン過敏症（グルテン不耐症）とは、このグルテンの中に含まれるグリアジンという主要成分に過敏に反応して身体に症状が現れるものですが、最近の日本人にはとくに増えてきている疾患でもあります。

先日、新聞で「いつものパンがあなたを殺す」という本が、ニューヨークタイムズ紙でベストセラーになっているという広告をみて「なるほど」と思いました。この本は、炭水化物と糖質が引き起こす炎症で、脳が蝕まれる、肥満、アルツハイマー、心の病気にまで及ぶ。という内容なのです。

ご存知のように小麦は、食物アレルギーの3大原因のひとつで、乳幼児期に発症した小麦アレルギーは小学校に入るくらいまで、耐性を得にくいアレルギー因子です。アナフィラキシー既往やアトピー性皮膚炎の合併もあります。

少し前になりますが、泡立ちを良くするために使われた小麦由来の添加物は「小麦加水分解物含有の石鹸で運動誘発性のアレルギーが起こる可能性がある」として一般の方にも知られるようになりました。

世界中どこを見ても、日本ほどいろいろな国の食事が楽しめる国はありません。右を見ても左を見てもファミレス、ハンバーガー、ラーメン、コンビニ…いつでも手軽に食べられるものは小麦が使われています。

その結果、昔よりたくさんの小麦を摂取することになり、小麦に含まれる「グルテン」が悪さをする「グルテン過敏症」や「小麦アレルギー」が多くなりました。

炊きたてのご飯にかわり朝はパン。お昼には、ラーメン・チャンポン・うどん・十割でない蕎麦・サンドウイッチ・ハンバーガー・肉まんでおなかを満たし、夜も スパゲッテイやピザ・グラタン・クスクス。トンカツなどのフライもの・お好み焼きやチヂミ・餃子やシューマイ・天ぷら・おでんのねりもの・味噌汁の麩…などなど。今流行りのパンケーキやフレンチトースト・ドーナッツ・マフィン・クッキーなどの洋菓子。小麦を使っていないメニューを探すのが大変なくらいです。一日お米を食べないで終わってしまうことがあっても小麦を口にしない日はないくらいですね。

「グルテン」とは、タンパク質の一種で、小麦やライ麦、大麦などの穀物の胚乳にふくまれる成分のことで、うどんやパスタのコシ、パンの膨らみはグルテンの働き によるものです。「グルテン」に過敏に反応するアレルギーのヒトが摂取すると、小腸が消化不良をおこし「湿疹・痒み・吐き気」などの症状が現れます。現代人は毎食何らかのかたちで、小麦を摂っていますから、本来のアトピー症状に加えて「グルテンの痒み」があるのかもしれません。

昔から日本人は、「うどんやだんご」を食していたという歴史はありますが、頻繁に小麦をとっていたわけではありません。また小麦の品種もかわり江戸時代の品種と現代のものとは大きく違うそうです。わずか30年程前までは「グルテンへの感受性」は高くなかったのです。

日本に比べ、アメリカは人口の15％とも言われるくらい「グルテン過敏症」が多く、「グルテンフリー」の食品が数多くスーパーに並びよく売れています。

小麦アレルギーのように、突然アナフィラキシー状態になるわけではないので、グルテン過敏症の人のうち、９９％は、自分が「グルテン過敏症である」と気づいていないといわれています。グルテン過敏症などの「遅延型アレルギー」は、「何となく調子が悪い」が特徴で、左記のような症状が現れる事があります。

• 肌荒れがひどい
  顔、二の腕、背中のブツブツ、（毛孔性角化症）、鳥肌のような湿疹
• 精神状態が不安定
  気分のムラ、理由もなく気分が落ち込むなどの不安やウツ状態
• 疲れやすい
  偏頭痛、慢性疲労、集中力に欠ける
• 体調がすぐれない
  膨満感、下痢、便秘、めまい
• 関節の痛み
  膝や腰、指の関節痛

ひとつでも当てはまるようであれば、２～３週間程、まずグルテンを食事から完全に除去してみましょう。グルテン除去の期間中、体調が急によくなり、食事を戻すと体調が悪化するようであれば、グルテン過敏症の可能性が高いのです。

小麦粉はグルテンの含有量により強力粉、中力粉、薄力粉に分けられ、グルテンは強力粉には多く含まれ、薄力粉にはあまり含まれていません。

強力粉はパンの原料や学校給食で出てくるソフト麺にも使われています。国内の生産量は少なく、アメリカ・カナダ産のものが多く、中力粉はうどんに、薄力粉 は、ケーキなどの菓子類に使われます。グルテンは、穀物の胚乳にふくまれる成分ですから、全粒粉・グラハム粉・セモリナ粉にも含まれます。

英語圏では、小麦粉は、フラワー（flour）といいます。アメリカから来るフラワーは、ポストハーベストというおまけが付いています。こわいですね。